ブックレビュー/ドゥルーズ「差異について」
のちに「差異と反復」に昇華する、テキストの戯れ。
ベルクソン及び差異の問題は、「思想と動くもの」で参照されたいが、
簡単にいえば、固定された瞬間はなく、
「流れ(≒持続)」そのものが本質であることを示している。
(cf「ゼノンの詭弁」)
本書は、その「流れ」のさらなる深みとして、
関係性としての「差異」を読み解く。
時間・空間において、流れが生じる根底には、
「差異」が潜んでいる。
「差異」があるからこそ「流れ」が生じるという、
言語論的転回の典型的な思考形式である。
持続、記憶、エラン・ヴィタールを位置づける。
訳者は、ドゥルーズのベルクソン論を映画論「シネマ」に結び付けるが、
本書の使い方は、「差異と反復」の入門書としてオススメしたい。